肝硬変とは

肝臓病は進行するまで大方無症状である。肝硬変に至らないように適切な時期に治療を実施することが肝要である。


1.肝臓は沈黙の臓器

肝臓は「沈黙の臓器」と言われています。かなり病状が進行しないと症状に現れにくいという特徴があります。C型慢性肝炎の方も肝機能がかなり上昇していれば、倦怠感を訴えることがありますが、普段は何も症状はありません。しかし肝臓病があると、20-30年かけて肝硬変に進行します。



2.肝硬変の原因


肝硬変の原因グラフ肝硬変の原因疾患としてはその大半はB型とC型のウィルス性肝炎によるものです。現在両疾患とも経口剤が著しく進歩したため、肝臓が傷まないうちに正しく治療を受ければ、肝硬変まで進行することは回避できます。それ以外ではアルコール多飲、脂肪肝の中でもNASH(ナッシュ)といわれる非アルコール性脂肪肝、女性に多い肝臓病である自己免疫性肝炎やPBC(原発性胆汁性胆管炎)などがあります。



3.肝硬変になると。(3大死因)


肝硬変3大死因グラフ肝硬変に至らなくとも肝がん(肝細胞癌)が発症することはありますが、肝硬変になるとより肝がんが出やすくなり、最終的にこれが原因でなくなる方が半数を超えます。
他には肝不全という肝臓が生きていくのに必要な機能が果たせなくなり、様々な不都合な事態に至ります。腹水がでて食べられなくなったり、アンモニアが代謝できなくなり、ふらついたり、正常な判断ができなくなったり、繰り返し腹膜炎が生じるなど起こり得ます。また食道や胃に静脈瘤という吐血に至る余計な血管が腫れてくることで消化管出血に至り、死に至る方もいらっしゃいます。


58歳男性 B型肝硬変の食道静脈瘤破裂治療例(自験例)

食道静脈瘤破裂治療例1 食道静脈瘤破裂治療例2


吐血にて救急搬送されました。血液が半分になって、ショック状態であり、輸血や昇圧後に緊急治療を当時教えていた研修医と2人で実施しました。


食道静脈瘤破裂治療例3 食道静脈瘤破裂治療例4


そこで出血した部分を内視鏡にてゴムでしばり(EVL)、すぐにカテーテルで脾動脈を塞栓して救命致しました。(PSE)
このように食道静脈瘤破裂は恐ろしい病態です。肝硬変に至らないように適切な時期に治療を開始することが肝要です。


主な疾患 主な治療
B型肝炎 抗ウィルス療法
C型肝炎 抗ウィルス療法
NASH ビタミンE、ウルソ、ベザトール、メトホルミン内服など
PBC(原発性硬化性胆管炎) ウルソ内服、進行例は肝移植
自己免疫性肝炎 ステロイド、免疫抑制剤など
アルコール性肝障害 禁酒